映画『福田村事件』を見た。
ここ数年、あまり積極的に映像作品に触れてこなかったのだけど、最近、メンタル不調もずいぶん回復したこともあって、気になるものはリアルタイムで見に行こうと、やっと思えるようになった。
また監督が森達也さんだったこと、題材が歴史的な事実であることも大きかった。概要と結末はわかっているわけだから、まあ楽しい作品でないことは確実だったけれど、今見ておくべきだろうと思った。
見てよかった。今見てよかった。
森達也さんの代表作であるオウム真理教を追ったドキュメンタリー『A』『A2』は実はまだ見れていないのだけど、エッセイなどで考え方やスタンスに触れ、とても尊敬の念を抱いていた。
思想とか国家・国民としてのあれこれとか、政治的な思惑とかそんなものは何も関係なく「事実としてあったこと」をそのまま知ること。
作品を通してとてつもなく悲惨な事実を突きつけられたわけだけど、その監督のスタンスがしっかり伝わってきたので、安心して最後までスクリーンを直視することができた。
こうした集団心理の恐ろしさについて、わたしもとても興味がある。そのこと自体を、久しぶりに思い出した。
あと、役者さんたちがみんなとてもよかった。一部の女性の描き方はちょっとしっくりこなかったところもあるけれど、そんなのは些細なことだ。
今の時代に、この事件を歴史の彼方から掘り起こしてくれてありがとうございます、という気持ち。