わたしとは違って10年以上、堅実にひとつの仕事をし続けてきた妹が、突如として大きな決断をした。その変貌っぷりにちょっと驚きつつ、いままで見たことがないくらいイキイキとしている彼女を、全力で応援したいと思っている。
うちの親は、子どもに対してああしろ、こうしろと一切言わない。自分の記憶をたどる限り、ただの一度もない。
わたしが29歳で会社員をやめて、「フリーランスになる」と報告(しかも事後報告だった)したときも、きっとあれこれ問い質したいことや、いろんな不安や心配があったであろうに、父はそんなことはおくびにも出さず「そうか、楽しみだね」とひとこと言っただけだった。
当時、主に仕事関係の人たちから「ふうん、独立? なんかしらんけど大丈夫なの?」的なことをさんざん言われていた身からすると、そのひとことがどれだけ大きく、心の支えになったことか。
その「ひとこと」の強さを身をもって知っているからこそ、わたしは周りの人たちが独立したり、何か新しい挑戦をしたりするときは、絶対に「そうか、おめでとう! これから楽しみだね」と伝えることにしている。
「大丈夫なのか」なんて、誰よりも自分自身が不安に思っていたし、「これからどうするの」なんてのも単なるあいさつ代わりの言葉であって、社交辞令以上にも以下にもならない。
結局のところ、未来の結果がどうなるかなんて、その後の本人のがんばり次第でしかないのだから。