みんなよう怒るな、といつも思う。
肝心なところになかなか手が行き届かない政治に怒り、思うようにならない経済状況に怒り、所属する組織が手厚い対応をしてくれないと怒り、近しいゆえにすれ違い続ける家族に怒り、褒められたものではない行動が発覚したどこぞの芸能人に怒り、イマドキのワカモノハなっとらん、と決して埋まらないジェネレーションギャップに怒り、匿名掲示板で怒り、SNSで怒り、対象を変えては怒り、いついかなるときも怒り、怒り、怒り続ける。
このごろ思うのは、「怒り」というのは「期待」の裏返しなのだということだ。
わたしは、むかしからあまり怒りを感じることがない。何に直面しても「またやっとるんか」以上の感想を抱くことはほとんどない。
付き合って日の浅い人の目には、それが「穏やかな性格」「寛容」であると映るようなのだけど、自分では逆だと思っている。わたしはとても冷たいのだと思う。冷たくて、誰に対しても何にも必要以上に期待していないから、それがちょっと裏切られたところで感情を動かされることがないだけだ。
なんでみんな、そこまで周囲に期待するのだろう。国や組織や有名人、自分と関わる人たちがすべてパーフェクトじゃないと許せないのだろうか。所詮は人間のやることであって、そもそも今の政治体制や社会常識が形づくられてからそんなに長い時間はたっていないというのに。
期待など何もせずに淡々と日常を送る。そうありたい。