#603 愛着あるもの【三日坊主とひとりごと】

時計が好きだったことを思い出した。雑貨とか、アクセサリーとしての時計のことだ。

腕時計、置き時計、壁掛け時計。好き、といっても、たくさん所有していたわけでも、高級品だとかレアアイテムだとかを欲していたわけではない。むしろ何年も同じ時計を肌身離さず持っていた時期が長くて、日々をすごす相棒のように大事に使っていた時計たちを、今でも一つひとつ思い出すことができるような感じ。

7-8年くらいの間、それをなぜかすっかり忘れていた。なぜだかはよくわからない……と、書きかけて、一瞬で原因が2つ、3つと思いつく。

一つは、スマホを持ちはじめたこと。もう一つは、一時期めちゃくちゃ太って体型が変わってしまい、持っていた腕時計が似合わなくなったこと。

そしてたぶんもう一つは、好きなものを大切に愛でるようなゆとりが、日常から消えていたこと。

仕事や持ち物を一斉に手放してから、物欲がほとんどなくなってしまっていたのだけど、最近、贈り物で「何か欲しいものある?」と聞かれたとき、ふと思い浮かんだのが時計だった。

そのとき唐突に、私は時計が好きだったことを思い出した。

それから新たに、手元にきた時計が2つ。デザインが洗練された北欧雑貨の壁掛け時計と、アクセサリー感のあるおしゃれな腕時計。どちらもけっこう前から「いいなぁ」と、ぼんやり思うだけ思って眺めていたもの。

愛着のあるものが手元に増える感覚を、いま久しぶりに味わっている。