久しぶりに悪夢をみた。
あれはどう考えても、どう思い返してみてもまぎれもない、まさに純度200%の悪夢だった。あまりのリアルさに冷や汗をかいてハッと目を覚ましたが、ざらついた不快な感覚が身体のなかに生々しくのこっていた。
わたしは普段、あまり夢をみることがなく、みていたとしても起きた瞬間にすべて忘れてしまう。睡眠がどんなに浅かろうと、睡眠時間が足りていなかろうと、「夢をみる」こと自体がまれだ。
だからたまに、夢のなかのできごとに驚いて目が覚めたりすることがあると、本当にびっくりする。じーっと、いま自分がみた夢の意味を無駄に考え込んでしまったりして。
その日、たしかに寝つきがいつもより格段に悪かった。
ここ最近、生活全体を整えていて、睡眠の質がすこしずつ改善していたところだったから、ベッドのなかでごろごろ転がりながら、「まあそんなにスムーズにはいかないわな」なんて、変なところで冷静に思ったりもした。
そうこうしているうちにどんどん思考がマイナスになりはじめ、相変わらずちっとも眠れないのであきらめて部屋を明るくし、読みかけの小説をひらくことにした。
それがハードボイルド小説だったのも、もしかしたらよくなかったのだろうか。(本の中では、孤高の探偵が殺人犯を追っていた)
明け方になって、ようやくうつらうつらとしはじめたところで、それはいきなりやってきた。
まあそのおかげで、翌日は熟睡できたんだけどな。