ぬるっと新年がはじまった。
去年、息も絶え絶え、ごまかしごまかし走っていたダメージが思いのほか大きくて、年末年始は家で布団にくるまってじっとしていることにした。
実家への帰省をやめて、忘年会もやらず、1年を振り返りもせず、目標を立てることもなく、年賀状も書かず、家の掃除も半分くらいまでにして、おせちもお雑煮もしめ飾りも何も用意しなかった。(一応、年越しそばとしてどん兵衛は食べた)
そもそも、ただ1週間くらい、世間一般的に「休み」とされる期間があるだけなのだ。日常と何も変わらない。
それでも、世間一般が「休み」になる期間というものは、区切りとしてけっこうありがたかったりもする。
ベッドにごろりと横になり、カーテン越しの太陽の光をまぶしく見上げながら、ふと横にある本棚に手を伸ばす。
ここ半年くらい、まともに読書ができていなかった。
読みたい本は山ほどあるのに、いざページを開いてみると1行も頭に入ってこない。内容に集中できない。
でもここ最近はSNSを一気に遮断しにかかっているので、文字の摂取量が減って、きっと脳内メモリに余裕ができているはず。
ふと思い浮かんだのが、松本清張の『点と線』。
有名な作品だし、何度も読んでいてストーリーも結末も全部知っている。
エモーショナルな心理描写や冗長な自分語りが一切ない、淡々とした文章と研ぎ澄まされた構成に癒されている自分がいた。
久しぶりに、一冊の小説を読み切る年初め。