自宅で丸1日仕事をしているとき、いちばん「いいな」と思えるのは、日差しの具合によって布団を干せることだ。どんなに眠りが浅くても、シーツが洗い立てだったり、毛布から太陽のにおいがするだけで、なんとなく幸福感が高まって癒される。
日中、どうしても集中できないときは、そのベッドにもぐりこんでしばしまどろむ。気分によって時間の使い方を変えられるのが、やはり自分の性格に合っているのだと思う。(その分は翌日朝、起きる時間を1時間早めることで帳尻を合わせている)
ようやく冬用のベッドパッドも届いて、睡眠も快適になりそうである。お高い寝具のカタログとにらめっこしたこともあったけど(そして結局二の足を踏んで買わなかった)、高価なものを揃えずとも、こまめに手入れができれば体感がかなり変わるのだ。
最近の眠りの浅さの原因になっていたであろう荷物を、ひとつずつ、少しずつおろしながら進んでいる。
むかし読んだ小説のなかに、「何かあってもいつの間にか前を向いて歩いていかざるを得ないのが人間。それがイヤだった」みたいな一節があって、それにいたく共感してしまった時期があった。
その感覚を、なんとなく忘れられずにいる。前向きな言葉を受け入れられないときだって、人にはあるからだ。
頭から毛布をかぶって、ぬくぬくとしたベッドのなかでじっと春を待つような時期が、あっていい。そんな風に思いつつ、今日も向かい風の中を必死で歩いている。