2012年の春、わたしは当時つとめていた会社を辞める決意をした。
先の展望なんて何もなかった。「次何しよう」と未来にワクワクする気持ちも、転職のあても何もなく、とにかくその環境にどっぷりハマって抜け出せなくなり、もがいている自分を一度ひき上げることしか考えていなかった。
上司に話をしよう、と決めた日の朝のことを今でもよく覚えている。「どうしたらいいんだろう」とモヤモヤ晴れなかった心の中の霧が、「辞める」と決意した瞬間に、さーっと薄れていく感覚。
さんざん悩んで、モヤついて、すこし病んだりもしたけれど、結局「こうする」と自分が決めさえすれば、ものごとが進んでいくんだなとはじめて実感した。
最近、その頃の自分のことをよく思い出すのは、たぶん自分がいま、ちょっとだけ似たような状況に陥っているからなのだと思う。
たぶんもう、なんとなく自分の中で結論は出ていて、あとは「そうする」と決めてそこに向かって動くだけ。
答えなんて無数にあるのだから、自分がよかれと思った道をどんどん進んでいって、いつかそれが自分にとっての「正解」だと思えるようにふるまうしかないのだろう。
いくつもの道を模索しながら、いくつも保険をかけつつ自在に動けるほど、器用でも機敏でもないことは自分がいちばんよくわかっている。
「こう」と一度決めたら、その道を悪戦苦闘しながらたどりつづけるのが、わたしの歩き方なんだろうと思う。たぶんこれからも。