「継続が大事だ」と、きっと誰もがいう。石の上にも3年。継続は力なり。わたしもそう思ってきた。長年、トップを走り続ける各界のプレイヤーに、いつも敬意を抱いていた。
でも、最近すこし、考え方が変わってきている。
大人になると、学生時代のように強制的にやってくる“区切り”がまったくなくなる。転職したり、独立したり、ライフイベントがあったりはするかもしれないけれど、それらはすべて自分が何か決断しないとやってこない。
つい最近までは、すべての決断が「ステップアップのため」「次のステージに進むため」もしくは、「やりたくないことと決別するため」という感覚が強かった。だから何かの節目をむかえても、基本的にはポジティブに心機一転できていたと思う。
ただ、目の前に迫る「決断」の性質が、30代半ばをすぎて大きく変わってきた。
何かを新たに得るだけではなく、「どちらを選ぶか」を迫られる機会が増えてきたからだ。それはつまり、「どちらを捨てるか」を決めなければならないということ。
人はそんなにたくさんのものを、両手にもてない。何かを得たいなら、何かを減らさなければいけない。そういう年齢になってきたのだと実感する。
その決断を迫られているときに継続至上主義一辺倒になってしまうと、次の選択肢を見誤ってしまう。そんな気がしている。
「終わりを決める」「継続する・しないの判断をくだす」——それは決してネガティブなことばかりではない。