#536 時代が戻ることを期待する人たち【三日坊主とひとりごと】

いろいろなことが思うようにいかないなぁ、と頭を抱えてはじめて気がつくのは、ここ5年くらいはたまたま運がよかったんだな、ありがたかったんだな、ということ。そういえばこの37年を振り返ってみると、何事もなく過ごせていた日々のほうが少なかった。たぶん、人生なんてそんなものなのだ。

父と電話していて、なんの流れだったか「時代が戻ることを期待する人たち」の話になった。

わたしと同じくらいの世代は、生まれてから一度も好景気の社会を経験していない。わたしたちが生きてきた時代は、いつも「失われた時代」扱いをされる。

でもわたしが20代の頃、接していた20歳以上年上の人たちはバブル景気を経験していて、「あの頃は」的な話をよく聞かされた。

「いつか、またあの頃のようにいい時代がくる」—— 一度、直に体験しているのだからそう考えてしまうのも仕方ないのかもしれないけれど、それがすべての前提に置かれてしまっていて、閉口したこともあった。

2020年現在、郵便局にいくため久しぶりに一歩、外に出ると、真夏にもかかわらず、街を歩く人全員が、マスクで顔を覆っている。

「普通の日々」ってなんだろう、と考える。通常も異常も相対的な感覚でしかない。

戻るも進むもなくて、ただ目の前で起きていることをそのまま受け入れる。わたしたちにできることは、その波にどう乗ればいいのか、危ういバランスを保とうと必死にもがくことだけなのかもしれない。