楽器に1日触れないと、3日分スキルが後退するといわれるのと同じで、「書く」力も、使わないとどんどん衰える。たぶん、筋トレも一緒な気がする。
「自分で書く」仕事を極力減らし、編集業務にしばらくのあいだ集中してきたけれど、久しぶりに「イチから自分で書く」機会が重なった。搭載エンジンは相変わらず超絶スロ—スターターなので、「書くまで」がとても苦しい。それが重なると、押しつぶされそうになる。(だからライターを続けるのはムリだと思ったのだった)
でも不思議と、一旦、文字を打ち込みはじめると、編集の仕事をしているときとは違う脳内物質が分泌されている感覚がある。時空に没入して、螺旋階段を一気に降るようにドライブしていく。
体感するたびに、結局、自分にはこれしかないのだろうなと思い知る。
ただそれを、他の仕事がうまくいかない言い訳にしたくない気持ちもある。
仕事なんて、ままならないことだらけだ。働きはじめて15年ほどになるけれど、うまくいっていて割と心が穏やかにすごせていたのはトータル3-4年くらいだろう。
わたしが特別なのではなく、そもそも、人の営み自体がそんなものなのだろうなと思う。
ままならないことに囲まれて冷や汗をかき、ときには盛大に強がって、ときには素直に弱音を吐露し、どうにかこうにか一歩ずつ、前進したかと思えばじわじわ後退りしてみたり、気力が途切れて立ち尽くしたり。毎日が、そんなことの繰り返し。