悪口に、耐性がなくなった。そんな同業の友人のつぶやきに、ひとり、思わず深く何度もうなずく。
不思議なものである。制作やライター・編集の仕事を10年もやっていると、実にいろいろな立場の人に話を聞く機会がある。
経営者の方。若手社員の方。派遣社員の方。学生さん。大企業で超大きなプロジェクトを進めてる方。数人でがんばっているスタートアップの方。老舗の中小企業でふんばっている方。
性別、年齢、立場、ポジション、肩書き、職種、仕事内容、思想や考え方。
みんなちがう。人それぞれ。
でもほとんどのケースに共通するのは、だいたいみんな、自分が居る場所で、自分なりに精一杯、闘っていることだ。
守るもの、優先したいもの。どれが正しくてどれかが間違っている、なんてことはない。
それぞれの“一生懸命”が、ある。
だからたぶん、主語の大きな悪口に、耐えられなくなったのだと思う。
「官僚なんて、どうせお役所仕事してるだけだろう」「大企業に入ったって、どうせ歯車になるだけだ」「女性はどうせこうだ」「若いヤツはどうせああだ」
わたしは、日本社会のことを本当に真剣に考え、行動している官僚の方にも、大企業に何年も勤めて大きなプロジェクトの中心を担っている社員の方にも、穏やかに活躍している女性にも、ものすごく優秀な若い方にも、取材を通して話を聞いたことがある。
何もかもわかったような顔で、大きな主語をふりまわすようなことは、もうやめよう。