多感なはずだった10代の頃も、悩み多き20代も、わたしは「占い」というものにあまり興味がなかった。
特別に信心深くもなく、神頼みもほどほどに。
それが一気に変わったのは、独立してフリーランスになってからだ。
会社員だった頃、なぜ経営者の人たちが風水を気にしたり、やたら縁起をかついだりするのか、いまいちよくわからなかった。
当時のわたしの周りにいた人が、たまたまそうだっただけかもしれない。でもみんな、普段は合理的な人だったから、なんとなくギャップが気になっていた。
でもいざ、自分がフリーランスになってみて、肩書きも後ろ盾もなにもない状態で社会にぽつねんと置かれたとき、瞬時に悟った。
人は、何かにすがらないと、生きられない。(のかもしれない)
あんなにくっきりと、心細さが全身に染みわたるように広がっていくのを感じたのは、18歳で実家を出て、ひとり暮らしをはじめたとき以来だった。つまり人生で2回目。
あのとき、ひとり残された学生寮のなかで、暮れてゆく夕陽を見ながらちょっと泣きべそをかきそうになっていた自分を、ほんのすこし思い出す。
歳を重ねて、心細さをそれなりに覆いかくせるくらいには図太くなったけれど、わたしも、ときどき神社にお参りしたり、占いを欠かさずチェックしたりする習慣が完全に定着してしまった。
2019年の年の瀬も、占いの言葉に一喜一憂したり、励まされたりしながら、静かに暮れていく。よいお年を。