終戦記念日である。お盆に入ってから、NHKオンデマンドで戦争ドキュメンタリーをいくつか見る。
この時期になるといつも、思い出すことがある。
小学生のときの夏休み。家族で旅行に行った先、コテージで何気なくつけたTV番組。たまたまやっていた戦争ドキュメンタリーに釘付けになってしまったこと。
正直、内容はあまり覚えていない。画面の向こうのシーンで繰り広げられる再現ドラマの映像そのものが衝撃だった。
『火垂るの墓』をはじめて見たときは、主人公の母親が亡くなるシーンで離脱した。
教室の図書コーナーにあった『はだしのゲン』を、これまた何気なく開いた時のショックも同じだったと思う。
内容云々ではない。ごく当たり前のように、人として、「これは絶対にあってはならないことだ」と、子どもながらに感じていた。
ちょうどわたしたちの世代は、戦後50年の時期に義務教育を受けていた。
だから学校でもそれなりに習ったし、自分でも関連する本やTV番組などにけっこう触れていた。
にも関わらず、だ。10代でいちばんの衝撃を受けたのは、高校3年生のときに『大地の子』を読んだときだった。
日本の「侵略戦争」の歴史について、わたしはほとんど何も知らなかった。原爆投下や東京大空襲、沖縄の地上戦などで受けた被害についてはよく知っていたのに。
公平な歴史なんてどこにも存在しない。でも、そこに「相手の正義」があったことを受け入れる余白はもっていたい。