「会社にして、何か変わりました?」と、よく聞かれる。
わたしの答えは「ものすごく変わった。こんなに変わるなんて想像もしていなかった」だ。
正直、去年の夏に個人事業から法人化したのは勢いと成り行きだった。あったのは「このままじゃダメだなぁ」という漠然とした危機感だけ。
以来、仕事の内容は意識して変えてきたけれど、規模はまだほとんど「個人事業」の域から出ていない。雇用もしていなければ、オフィスもない。
でも、何かが確実に変わった。
フリーランスのときは、仕事の評価も収入も、すべてが「イコール自分」だった。
稼ぎが増えればふえるだけ生活の自由度は上がったし、仕事で得られる評価も、負わなければいけない責任も、全部、自分ひとりのもの。
法人化して銀行に法人口座を新しくつくり、その利益から自分の給料をもらうようになって、はっ!とした。
これまで「自分ひとり」を中心にまわっていた仕事と生活の中に、もうひとつの人格がぽん、と放り込まれた感じだ。
「法人は、人間以外に認められた唯一の人格なんですよ」
以前、とある経営者の方がおっしゃっていた言葉を思い出す。
生まれたばかりだから、一生懸命手をかけて面倒をみなければいけない。これからどんな子どもに育てたいか、考えなければいけない。
この未熟な“子育て”に、関わってくれる人たちへの目線も変わった。
悪くない。これは、長くひとりで仕事してきたわたしにとって、決して悪くない感覚だ。