#477 没頭すること 【三日坊主とひとりごと】

わたしは立派な活字中毒者だけれど、気分や体調によっては「読めない」日もある。

いまいち集中できない。内容が頭に入ってこない。読みながら、はるか遠くの方に思考がぽーんと飛んでしまう。

そんなときは、どんなに文字を追ってもダメだ。

あきらめて読みかけの本をそっと閉じ、着替えてメイクをして外にショッピングに出かける……わけではなく、今度はおもむろにマンガを読んだりするのだから、やっぱりわたしは“活字中毒”なのだと思う。(なぜかマンガは読める)

なぜ小説やマンガが好きなのか。非日常の世界に知らずしらず没頭することが、自分の趣味なのだろう。

だから気分によって“没頭”できないときは、文字を追うのがつらくなる。

「本(やマンガ)を読む」行為には、2種類ある。ひとつは、情報を得るための読書。先人が書き残した知恵やノウハウをインプットする。

この「読書」は、べつに他の行為で代替してもよい。オーディオブックでもいいし、同じ情報が得られるならトークセッションでも講演でも映像でも構わない。

情報を得るのが目的なら、効率がいい手段はいくらでもある。

ただもうひとつの目的、その世界観にひたりたいがために、わたしは小説やマンガを好んで読む。これは、他のものでは満たせないことだ。

外からの情報をシャットダウンし、目の前でくりひろげられる世界に没頭する。すべての物語が終わり、最後のページを閉じた瞬間が、わたしはなにより好きである。