なにも思いどおりになんて、ならない。ひとつもだ。
あれもやろう、これもやろう、あ、そっちもだね。でもとりあえずこれ先やるから。そういえばあれもやりたかったんだ。ひとまずこっち優先かな。
ぐるぐるとアタマをめぐらせては手を動かし、足を運び、だれかと会話し、本を読み、ものごとを進めていると、あっという間に1週間が終わる。
ある程度、自分のペースがつくれてきたと思ったのも束の間。新しいことを考えるフェーズになれば、仕事はまた増える。アタマのどこを使うかも変わってくる。
その都度、いちばん早く動きそうな脳内サーバーにコードをつなぎなおす。いや、接続しているのは何かの筋肉なのかもしれない。仕事内容によって使う筋肉はちがう。
……と、忙しいふりをするのは簡単である。あまりムリがきかなくなって最低7時間は寝るし、息抜きにマンガも読むし、土日は完全に廃人のようになっている。
だいたい決まって、金曜の夕方ごろには息切れしているから、「続きは土日に……」なんて一瞬アタマをよぎるのだけど、それが実践できた試しなんてほとんどない。
自分が思っているように、頭も身体も動いてくれない。もはや自分ですら、思いどおりになんてならないのだ。
新しくつくっている会社の“合言葉”(行動指針みたいなもの)の中に、「思い通りにいかなくて当たり前」という一文を入れた。
それが当たり前。だからその中で精一杯、何ができるのかを考えるだけである。