#473 本音とタテマエ、あるいは過去の静かな記憶【三日坊主とひとりごと】

先日、知人とランチをしていたときのこと。自分の口からぽろりとこぼれた言葉に、自分がいちばんびっくりした。

「本当に“やりたいこと”を突き詰めていったら、わたしはとっくに世捨て人みたいになってたと思うんですよねー」

あ、そうだった。そういえばわたし、そういう感じの人だ。

つい最近、10代の頃によく読んでいた類の小説の世界に、どっぷりつかった影響もあったのかもしれないけれど。

これまでの人生の中で、高校の3年間がいちばん「静かに」すごせた時期だったと思う。

女子高生らしく友人たちと青春を謳歌する……なんてことはなく、図書館に入り浸る日々。上中下巻で数百ページ、なんてのは当たり前で、10巻以上ある歴史小説なんかも嬉々として読み漁っていた。

わたしが通っていたのは自宅から少し離れた、まあまあ有名な進学校だった。

校風の自由な女子校だったことに加え、周りの友人はみんなそれなりに自立していて、先生にも友人にも過剰な干渉をされることなく、荒れていた地元中学での3年間に心底うんざりしていたわたしにとっては天国のような環境だった。

仕事をはじめてからはすっかり忘れていた感覚だった。なんだか久しぶりに当時のことを思い出してしまった。

まあ周りの人間関係が落ち着いていた、というだけで、田舎の閉塞感には辟易していたのだけれど。

今もわたしは、それを求めているのか。ふと疑問に思った。正直なところ、自分でもまだよくわからない。