わたしには、協調性と社交性がない。びっくりするくらい、ない。
人の群れが苦手だ。集団行動はできるだけしたくない。修学旅行はまったく楽しくなかったし、シェアハウスとかマジで住める気がしない。旅は一人の方が気楽。交流会や飲み会は、できれば4~6人まででお願いしたい。
とくに社会人になってから、大勢の人が集まる飲み会や交流会に気乗りしないまま参加して完全に疲弊しきって帰宅した夜は、数知れない。
ほんの数年前までは、それでもどうにか溶け込もう、その場の空気に合わせよう、と努力していた(つもりだ)。でもあるとき、わたしはこの点に関して、がんばることを一切やめた。なんだか、ずいぶん身軽になった。
「わたし、協調性ないから組織は向かないと思うんだよね」
努力をやめてから、ぽろっと父親にそうこぼしたことがある。本気でそう思っていたから、そのままフリーライターを続けるつもりだった。
「協調性がないから、社長になるんじゃないの」
父は笑ってそういった。そうなのかな、とわたしも笑ったけれど、当時は自分が会社をつくるイメージなんて、やっぱりわかなかった。でも、なぜだかわからないけれど、妙にその言葉が脳内に残った。
いま、ちょっとずつ“仕事仲間”と呼べる人たちが増えている。わたしには、協調性も社交性も相変わらずない。でも今度はムリしなくても、周りの人たちと一緒に、何かをはじめて生み出せるような気がしている。たぶん。