#425 発見されて、武器になる【三日坊主とひとりごと】

さまざまなことを「言語化」するのが、わたしの仕事だ。と、思っている。

もやもや、ふわふわした霧のようなものを少しずつ払ったり、絡まった糸をちょっとずつほぐしていったり、あちこちに散らばったカケラを順番に並べて整理したり。

本人がうまく言い表せないでいたことを、代わって表現するようなイメージ。

いちばん最初に、仕事として「誰かの気持ちを言語化」したのは、25歳のとき。第二新卒で入社した会社でのことだった。

そのときの私は右も左もわからない新米ディレクターにすぎず、ライター経験も当然、ゼロ。ただ「書くことにも興味はあります」、と面接で一応、付け足しておいた程度だった。

「書く仕事」ができるのは書籍や雑誌の世界で、ごくごく一部の、ものすごくセンスや実力のある書き手だけだと思っていたから。

でも「書くことにも興味がある」という私の言葉を受けた社長が、自社の採用ページをつくるとき、「ライターやってみる?」と声をかけてくれた。要は、「求める人材」とか「社長メッセージ」なんかのゴーストライティングである。

わからないなりに取材し、とにもかくにもメッセージを書いた。そこまで時間はかからなかった。

しかしその仕事が、えらく褒められた。ほぼ一発OKだった。

自分の文章が、はじめて仕事で評価された。その体験は大きかった。

どの力が相手の役に立つかなんて、自分ではわからない。第三者の評価を受けてはじめて、見えることがある。