それ、あなたがいうことではないよね?
と、いうシーンが日常の中にはけっこうある。
制作会社時代、よくあったのが「おたくの実績になるだろうから、その点も鑑みて見積もりして」つまりは、「もっと安くしろ」という交渉だった。フリーランスになってからも、たまにあったかな。
その仕事が実績になるかどうかは、あなたが決めることじゃない。
わたしが「これは実績になるから、無料でもいいのでやらせてください!」というのとは違う。“Win-win”でいうところの片方の“Win”が、ほんとうのWinになっていないケースだ。
わたしは何度かアシスタントさんを募集してきたのだけど、そこでもひとつ、とても気になったことがある。
「とても興味があるので、ぜひ勉強させてください!」
いや、わたしは「勉強したい人」ではなく「仕事をしてくれる人」を募集したのだ。アシスタントとはいえ。
もちろんわたしは、仕事をしてもらう代わりに、その人にとってちょっとでも勉強になることがあればいいな、とは思っている。
でもそれはあくまでも「わたし」の考え方であって、あなたがいうことではない。
エラそうに書いたけれど、きっとわたしも「あなたがいうことじゃない」と思われてることが、ときどきあるんだろうなと思う。要は、相手の立場をくみきれていない場面が。
すべての視点を網羅はできないけれど、ときどき我が身を振り返って気をつけたい。いつも、謙虚さを忘れないこと。