#406 構える必要なんてない【三日坊主とひとりごと】

どうにもこうにも眠れない夜というのは定期的におとずれるもので、もはや自分にとってそれは昔なじみの友人が来訪したみたいな感覚である。「よっ、また来たね」と、ヤツを座布団をひいて迎え入れつつ、ぐだりぐだりと会話を交わす。

「最近どうよ」
「ぜんぜんパッとしなくてね」
「ふーん」
「いろいろあるのよこれでも」
「そうなんだ」

昔はそのたびに心臓をぎゅーっとつかまれるようで、こみあげてくる感情をどこに受け流していいのかさっぱりわからなかった。

脂汗をかきながら布団を頭からかぶって、じっと朝が来るのを待つのだ。夜は長い。静けさと、疲れているはずなのに妙にさえている自分の脳みそがひたすらうらめしかった。

今でもそういうことがないわけではないけれど、ずいぶんと付き合い方はうまくなったような気がする。ああまたきたか、はいはい、と。こうして月日を重ねることで何かが上達するなら、歳を取るのも案外悪くない。

どうしてもこぼれてしまうひとりごと、今はSNSという場所ができてしまったので、ついうっかりぽろり、と言葉を落としてしまうときもある。まあそれはそれでいいか、と割り切っているけれど、仕事のつながりもあるからちょっと厄介だ。

最近は妙に気合の入ったビジネスアカウントが増えてきたので、個人的には「なんか、もういいかなー」なんて思っていたりもする。

それこそゆるくつながっている友人と、気楽にやり取りするくらいの感覚でいたい。