#385 「そんなこと」と思う前に【三日坊主とひとりごと】

フリーになったばかりの頃、ライターの先輩方が登壇する、とあるイベントに参加したことがある。不安ばかり抱えて、これから生き残る戦略なんかをマジメに考えていた時期だ。

ふと、「そんなこと……?」と困惑した一コマがあった。

「最後にひとこと、みなさんに伝えたいことはありますか?」と司会に問われたひとりの先輩が、切実な表情で言った。

「健康には気をつけてください。本当に」

さんざん、いろいろなテーマについて刺激的な話を聞いたあとだっただけに、すごく拍子抜けしたことを覚えている。「このイベントの締めに言いたいことが、それなんだ」と思ってしまったから。

その言葉の意味を、わたしはわずか1年もたたずに、痛感することになるのだけど。

先日、こんな記事を書いた。

「心のメンテナンス」として、もっと気軽にカウンセリングを。臨床心理士・岡田太陽さんに聞く心の不調へのケア

 

 

身体の健康はもちろんのこと、心のケアも絶対に必要。もともと弱いとか強いとかは関係ない。

「これをやっていれば安心」という大きな道がどんどんなくなり、みんなそれぞれが自分自身の細い道をみつけて、自分でどちらに進むかその都度、選ばなければいけない。

自由はすばらしいけれど、そのぶん責任が伴うプレッシャーを、わたしたちの大半は“実感として”知らずに生きてきていると思う。

好きなことをしてるとか、楽しいから大丈夫とか、そういうことは関係ない。

記事を読んでくれた何人かは、「もっと早く読みたかった」と言っていた。今後ひとりでも、そういう人が少なくなったらいいなと願う。