#362 春、北沢緑道にて【三日坊主とひとりごと】

先週末、久しぶりに下北沢で人と会った。2つとなりの梅ヶ丘に住んでいたときは、下北沢駅で下車してあちこち寄り道して帰っていたけれど、さらに2つ先の駅に引っ越してから、滅多に降りなくなってしまった。

駅の工事がはじまって、地上に出るまですごく遠くなってしまったのも、駅のホームがすごくせまくてゴミゴミしているのも、足が遠のいてしまった原因のひとつかもしれない。

下北沢には南口と北口に改札があって、それぞれの商店街の雰囲気がちょっとだけ違う。だから「今日はどっちから降りようか」と、考えるのもちょっとした楽しみのひとつだった。

それからわずか数日。ちょっと寄りたいところがあり、わたしは下北沢駅で降りた。

南口改札が、なくなっていた。

改札は工事のため閉鎖され、「なんだこの駅は」と戸惑うくらい、きれいになった駅の構内には「南西口」なる新たな改札口ができていた。

とりあえず南西口の改札を抜けて、しばしあたりをきょろきょろと見渡す。「えっ、一体どこに出たのこれ」と、ちょっとだけ混乱しながら。

用事を済ませて、目的のひとつ、北沢緑道に向かう。

駅から10分くらい歩くと、桜並木のとてもいい感じの小道が見えてくる。どんなに街中が変わっても、ここだけは毎年変わらなくてほっとする。

仕事がうまくいかなくて泣きそうな気持ちで見上げていた夜桜も、春風にゆれる桜を見ながら語らった時間も、ずっと記憶から消えることはないと思う。