#332 気づかない足枷【三日坊主とひとりごと】

いつの間にか、ものすっごい量の鎖が、自分の足に巻きついていた。自由に生きてるつもりだったわたしは、まるで気がつかなかった。

わたしは旅行があまり好きではないのだけど、その理由のひとつは明らかに、「計画と調整と実行のめんどくささ」だ。「毎日それ、仕事でやってるのに休みの日までなんでわざわざ……」と(苦笑)

関係者の日程を合わせる、宿を探して予約する、自分の仕事を調整する、交通機関の……うん、書いてるだけでもうイヤになってくる。

だからわたしは、ひとりか、本当に限られた人としか遠出をしない。家族か親友と。

でもふと、しみじみ考え込んでしまった。時間、お金、気力、体力、理由はいろいろあるけれど、一体いくつの足かせを勝手に作っていたんだろう。

そんなことが頭の隅にあったからだろうか。このあいだ家族とすごしていたとき、何の気なしに聞いてみた。

「もしも今、何の制約もなくなるとしたら、どこか行きたい場所はある?」

そしてそのあと、それはそれは大盛り上がりしたのだ。わたし自身も含めて。あんなに「旅は好きじゃない」と思っていたのに、「それなら行ってもいいな」なんて感じたり、「そういえばあそこは行ってみたかったな」と思い出したり。

同じような思考回路で、同じような毎日ばかり送っていると、自分でも気づかないうちに、小さなちいさな“型”にハマっていく。ときどきは自分のアタマを解放してあげるのも、必要なのかもしれない。