#330 クオリティと自己満足【三日坊主とひとりごと】

大学卒業してはじめて勤めた会社が雑誌制作(DTP)の会社だったから、オフィスではそこら中でわたしもよく知っている雑誌が作られていて、制作中のデザインデータはもちろん、写真素材やらテキストやら、編集者が書いたデザインラフやらを、毎日山のように目にしていた。

たった2年の間だったけど、そこで徹底的にたたきこまれたのが「どこまでデザインを細かくチェックするのか」というエディトリアルデザインの視点だった。

「そんくらい気にしなくていいじゃん」というスキマは、一切なかった。もちろんそれは会社としてのリスクヘッジも含んでいたと思うけど、とにかく社内のルールが徹底されていたし、編集者の方から送られてくる赤字の細かさにも何度も驚かされた。

文字の大きさ、フォント、文字詰め、行間。読者が読みやすい文字組みとは。漢字をひらくのか、そのまま使うのか。見出しの字切り。テキストまわりだけでも、相当なチェック項目があった。

ただこうした細部の仕事は、ときどき、どこまでが作り手側の自己満足で、どこまでが最低限のクオリティ担保なのか、わからなくなることがある。

でもやっぱり、パンフレットを手に取っても、Webで記事を読んでいても、「これ読者のこと1ミリも考えてないだろ」と感じるデザインに遭遇すると、なんだか悲しくなってしまう。

時間やコストを言い訳に、スルーしたくないなあと思う。「伝える」ために必要なこだわりだと思うから。