むかし、インタビューした方に記事を確認してもらったとき、「すごい! なんか自分のことじゃないみたいです!」という感想をいただき、一瞬、固まったことがある。
その方にとっては全力の褒め言葉だったみたいだからありがたく受け止めつつも、「それって、どうなんだろう?」と、はたと考え込んでしまった。
「自分じゃないみたい」。
本当の自分はもっとダメなのに。そんなにいいことばっかり毎日言ってるわけじゃないのに。弱い部分も苦しいことも、もっとたくさんあるのに。きれいごとじゃ語れないのに。
特に女性を意識したインタビュー記事を公開すると、読者の方からも同じような感想をいただくことが多い。
自分はあんなにキラキラしてないから。あの人だからできるんでしょ、私は違う。ちょっと私にはハードルが高すぎる。私とあの人は違う。
読者の方の目にそう映るインタビュイーの方も、じつは取材時に同じようなことをおっしゃる。
わたしなんかが取り上げられていいんですか。大したことは経験してないから。記事にちゃんとなるか不安。役に立つことが話せるかわからないですけど。
わたしのライターとしての実力不足もあると思う。さらにわたし自身もそんなに自信があるタイプじゃないので、気持ちは超わかる。わかるんだけど。
ただ、あまりにも同じようなことを言われるので、ときどきちょっと悲しくなってしまう。
自己肯定感をせめてもう少しだけ、もってもらいたいな。