冬になると、いつも思い出すレシピがある。
いや別に、ミルクココアお湯でとくやつもおいしいよ? と思っていたのだけど、それは学生のとき、はじめてアルバイトした喫茶店でくつがえされた。
サンドイッチのきれいな切り方とか、紅茶の葉が何十種類もあってそれぞれの特徴に合わせて入れ方が変わるとか、シフォンケーキの焼き方のポイントとか、そこで教えてもらったことはたくさんあって、その中のひとつが「おいしいココアの入れ方」だった。
あ、ココアパウダーってやつがあるんだ。バンホーテンというブランドが有名なんですね。お湯でとくんじゃないんですか、練るってどういうこと? それを小鍋で牛乳と温める、意外と手間がかかるんだね!
みたいな。工程の全部が新鮮だったのを覚えている。
ものすごい面倒くさがりなわたしが、今でも紅茶をティーバックじゃなく、茶葉で買ってきてティーポットでいれるのも、わざわざミルクパンを買ってココアを一杯ずつ作るのも、その喫茶店での経験がもとになっている。
やっぱり、ぜんぜん味が違うし楽しいんだよ。
ただ、そのとき教えてもらったココアのレシピを、さらに上回ったのが冒頭の作り方だ。
まず、とにかくココアパウダーを“炒る”工程の幸福度が高い(笑) カカオの香りが立ちのぼって、なんだかとても気分が高まる。
オール牛乳プラスはちみつ、という組み合わせも最強。
だからこの時期だけは、コーヒーよりココアを飲みたくなるんだよね。