何年前に会ったきりか、
もう忘れてしまったけれど
会うたびにいつだって
「今度は違う機会に集まろうね」と
涙を拭きながら手をにぎり合う。
でもやっぱり、
久しぶりに会ったあの人たちは
みんな喪服を着ていて、
会わなかった時間のぶん、
それぞれの身の上に、
きっちりと歳月が流れていた。
しみじみと「家族」や「身内」について
考えるのは、こんなときだ。
30歳を過ぎたあたりから、
自然と、あんまり聞かれなくなったけれど
わたしも、これから自分の人生に
現れるかもしれない「家族」のことを
考えてないわけではない。
でも、何もかもを手に入れるのは
やっぱりムリだよ、と思ってしまう私は
そこに思い切ってフタをして、
忙しい日々に、いつの間にか
身体をゆだねてしまっている。
位牌と遺影を持って並んだ
父と、父の弟である叔父の背中が
やけに年老いて見えて、
でも「やっぱり兄弟なんだね」とも思えて
なんだかそんなところで、
小さく涙が出そうになった秋の日。