#283 家族と秋晴れの空と【三日坊主とひとりごと】

何年前に会ったきりか、
もう忘れてしまったけれど

会うたびにいつだって
「今度は違う機会に集まろうね」と
涙を拭きながら手をにぎり合う。

でもやっぱり、
久しぶりに会ったあの人たちは
みんな喪服を着ていて、

会わなかった時間のぶん、
それぞれの身の上に、
きっちりと歳月が流れていた。

しみじみと「家族」や「身内」について
考えるのは、こんなときだ。

30歳を過ぎたあたりから、
自然と、あんまり聞かれなくなったけれど

わたしも、これから自分の人生に
現れるかもしれない「家族」のことを
考えてないわけではない。

でも、何もかもを手に入れるのは
やっぱりムリだよ、と思ってしまう私は

そこに思い切ってフタをして、
忙しい日々に、いつの間にか
身体をゆだねてしまっている。

位牌と遺影を持って並んだ
父と、父の弟である叔父の背中が

やけに年老いて見えて、
でも「やっぱり兄弟なんだね」とも思えて

なんだかそんなところで、
小さく涙が出そうになった秋の日。