#281 ちゃんとお金のことを話そう【三日坊主とひとりごと】

ふと、思い出したこと。

さかのぼること、10年前。

大学を卒業して、編集の仕事に
つきたいと思っていたわたしは、

大手・中堅出版社の
採用試験に片っ端から落ちて、

小さな編集プロダクションの
求人をあれこれ探していた。

たぶん、自分はそれなりに
がんばって仕事するタイプだよな、
と思っていた。

出版の世界が、昼も夜も休日もないこと。
それもなんとなくわかってたけど、
「まあいいか」と。

しかし、求人を見ているうちに
いつしか私の心はすっかり折れていた。

「給与手取り15万円」

当時、小さな編プロの給与は
そんなんばかりだった。

東京でひとり暮らし、その金額で、
朝から晩まで働いて、
本当に生きていけるのか。

さすがに、躊躇した。

私は、カンタンに
「お金なんてそんなに重要じゃない」
という人を信用できない。

発注する人も、それを受ける側の人間も。

お金は「責任」を媒介するものでもある。

お金を払うに値する価値を、
責任もって提供したいじゃない。