かつて、私の
原動力になっていたのは
危機感と焦りだった。
このままじゃ
社会の役に立てない、
というかそれ以前に
生きていけない。
ぜんぜん楽しくない。
20代の頃、毎日思っていた。
「はやく30歳くらいになれないか」
欲しくて欲しくて
たまらなかったのは、
誰に見せても
恥ずかしくない実績や
お客さまからの信頼
相手と対等に仕事ができる
自分の実力。
お互いを高め合える、
いろんな人たちとの出会い。
どうしたら手に入るのか
ぜんぜんわからなくて、
悔しくて苦しくて、
キラキラしている人たちを
羨望のまなざしで見つめていた。
29歳で独立し、いつしか
4年の月日がたって
ふと振り返る。
あの頃、のどから手が出るほど
ほしいと熱望していたものが
いま、自分の手の中にある。
唐突に、そう気がついた。
実力や実績は、まだまだだなと
思うことばかりだけど
手持ちのカードをあれこれ並べて
「さて次は」と考えられること。
なんだか泣けた。
それはもう、悔し涙ではなかった。