中学の同級生に
「おれは、自衛隊になる!」と
公言していた男の子がいた。
そんなに正義感が
強いタイプでも
体育会系でもなく
ごくふつうの
中学生だったと記憶している。
卒業から5年がたった、
成人式の日。
彼は本当に、
自衛隊の制服を着て
あらわれた。
私はちょっと、
おどろいていた。
彼は会場にいた誰よりも
胸をはって、誰よりも
誇らしい顔をしていたから。
当時、大学生活をのんびり
すごしていた私には
わからなかったけど
先日、伊藤祐靖さんの
『国のために死ねるか』を読んで
ふと、彼のことを
思い出した。
「自衛隊」。
右か左か、違憲か合憲か、
正直、そんな議論はもう
たくさんだ、と思うことがある。
大規模な災害が起きたとき
何かしらの紛争が発生したとき
矢面に立つのは、
間違いなく彼・彼女らだ。
でも私たちは
その実態を、ほとんど
知ることはない。
安全な場所から、
好き勝手なことをいうのは
情けなくなるくらい簡単だ。
この国に属している以上
知っておきたいことが、ある。