「ことばにして伝える」ことを
なりわいにして、
まあまあ年数がたつけれど
基本的に忘れてはいけない
根っこにある大前提は
「ことばにしたところで、
たいがいのことは伝わらない」
「正しく伝える」のは大変なのだ。
ことばにしている“つもり”、
ちゃんと伝えている“つもり”。
相手から話を聞いた“つもり”、
それをちゃんと理解した“つもり”。
いくつもの“つもり”が
積み重なって、
すれ違いや勘違いが生まれたり、
ほんとうに伝えたいことが
埋もれてしまったり……。
それをどうにかこうにか
掘り起こし、泥を一生懸命払って
山のようなことばの中から
あれでもない、これでもないと、
とっかえひっかえ
ぴったり合うものを探していく。
ときには、ちょっと不格好でも
そこに温度が生まれるように。
ときには、外に出しても
恥ずかしくないよう、
きちんと正装させて。
誰かの役に立つように、
ちゃんと日の目を見るように。
そんな仕事だと思うんだよね、たぶん。