「誰の文章が好き?」と
聞かれたら、超絶に迷う。
例えば。
レイモンド・チャンドラーの名作
『さらば愛しき女よ』。
清水俊二さんの訳が好きすぎて
もう何回くりかえし読んだだろう。
10代の頃から変わらず
そっと弱った心を支えてくれるのは
よしもとばななさんの
宝石のような言葉たち。
事実をドラマチックに伝える
沢木耕太郎さんの作品には、
文章もさることながら
構成の力を思い知らされた。
大学生のときに影響を受けた
村上春樹さんの文章は、
いつも変わらず
まるで、はるか上空から
人間界を俯瞰してるみたい。
西加奈子さんが使う
やわらかな関西弁の会話、
そのウラにそっとひそんでいる
底知れない狂気の気配。
ライターになってから
いつも参考にしている
古賀史建さんの
論理的でリズミカルな文章。
『数学ガールの秘密ノート』
作者の結城浩さんは、
文章から隠せないほどに
優しい人柄がにじみ出ていて。
仕事で毎日文章に溺れているけれど
好きな文章に溺れる時間が至福。