朝井リョウ作品をほとんど読んでなかったので後半はあまりピンとこず、ちょっともったいなかった。「おりる」はここ数年の自分のテーマだが、答えは出ていないので本の結末と同じようにこれからもモヤモヤし続ける。
- 社会にはびこる「息苦しさ」の裏にあるもののひとつは、この社会で無意識的に発せられている「生き残れ」という言葉=負けは自己責任である、という風潮
- 「おりる」とは、社会が提示してくるレールや人生のモデルから身をおろし、自分なりのペースや嗜好を大事にして生きるという考え方
- 今の日本では「生き残り」や「何者か」といった発想以外で生きる道はないのか?
- 『大人になった僕』『パディントン』
- なぜ人ではなくクマが社会問題と戦うのか? いまの世界の問題が、忘れ去られた「昔のわたし」のような視点からでないと乗り越えられないと捉えられているのではないか
- キャラクターと別離して人が成長する→キャラクターと共に生きる 方向転換
- これまで当然視されてきた「成長物語」へのアンチテーゼ
- ちゃんと「おりる」思想
- 達観して仙人になろう!ということではない。人がこの社会で自分のペースを大事にし、無理なく生きていくために必要な要素として、いま「生き残る=競争の中で自分をどう活かすか」とは真逆の考え方
- 「生き残る」という考え方には重大な欠陥がある/考え方の欠陥がある
- 「まず相手ルールで勝つ」以外の方法はあるか?
- 自分のやりたいことを通すために、先に他人の価値観に合わせて自分の価値を上げるアプローチの危うさ
- 相手ルールを優先させてしまう過程で、本来大事にしようとしていた自分ルールを抑圧することになる
- 「誰かのルール」に乗っからないこと
- 自分がやりたいことを素直に、それからもう少し根気強くやること
- 「生き直す」発想は、相手ルールから自分ルールへの転換
- 「自分の好きなことをして自由に暮らす」という単純なことではない
- 大事なことは「健康を失うような苦痛になることをやらないこと」
- 「好きなことをやらなければ」という考え方で身動きがとれなくなる
- 『実録 レイシストをしばき隊』より
- 反差別の運動が根拠としている「正しさ」は、「人それぞれの正義」などではなく、何が正しいかについて異なる考えをもつ各個人が、たがいの自由や権利を侵害しないために共有するものである
- 各人の正しさよりも、上位におかれる「法」に近い正義、「公正」と呼ぶべき正義(ジョン・ロールズの概念「公正としての正義」を踏まえた考え方
- 「差別がいけない理由は、不公平だから」公平公正に運営していきましょう、という民主主義の社会が破壊されるため
- 自分にも他者にも、生きるうえで必要となる社会の「公正さ」の問題提起