#278 小田急線、反対側のホーム【三日坊主とひとりごと】

かつて6年ほど、
梅ヶ丘という街に住んでいた。

下北沢から小田急線に乗って、
ほんの2駅。

いまは、さらに2駅ぶんプラスした
千歳船橋で暮らしている。

小田急線の沿線で生活をはじめて
もう8年もたってしまった。

長いこと、
わたしは新宿まで通勤していた。

梅ヶ丘駅から、小田急線で15分。

朝のラッシュにも、
もうなんとも感じなくなっていた。
ただの、毎朝のルーティーン。

でもそれを繰り返しているうちに、
いつしか、そうやって仕事に向かうのを
とても苦痛に感じることが増えていった。

新宿行きとは逆側の線路。
ときおり、箱根ロマンスカーが
通っていく。

「このままくるりとUターンして、
あの電車に乗ってしまったらどうなるかな」

ぼんやり考えた。
そのうち何度かは、それなりに本気で。

いまも、むかしも、
“反対側”の電車に乗ることは
めったにないのだけど、

小田急に乗って
新宿から離れる距離が大きくなるたび、
その頃、もがいていた
自分のことを思い出す。