かつて6年ほど、
梅ヶ丘という街に住んでいた。
下北沢から小田急線に乗って、
ほんの2駅。
いまは、さらに2駅ぶんプラスした
千歳船橋で暮らしている。
小田急線の沿線で生活をはじめて
もう8年もたってしまった。
長いこと、
わたしは新宿まで通勤していた。
梅ヶ丘駅から、小田急線で15分。
朝のラッシュにも、
もうなんとも感じなくなっていた。
ただの、毎朝のルーティーン。
でもそれを繰り返しているうちに、
いつしか、そうやって仕事に向かうのを
とても苦痛に感じることが増えていった。
新宿行きとは逆側の線路。
ときおり、箱根ロマンスカーが
通っていく。
「このままくるりとUターンして、
あの電車に乗ってしまったらどうなるかな」
ぼんやり考えた。
そのうち何度かは、それなりに本気で。
いまも、むかしも、
“反対側”の電車に乗ることは
めったにないのだけど、
小田急に乗って
新宿から離れる距離が大きくなるたび、
その頃、もがいていた
自分のことを思い出す。