じぶんの平穏な日常や
大切に思っていた人たちが
ほんの一瞬で根こそぎ奪われて
でもじぶんは生きていて、
生き続けていて、
生きなければならなくて。
どんなに悲しんでも
明日はくるし、
お腹が空けば食事をつくって
些細なことで笑いあえたりする。
「それでもよかった」という
前向きなことばを
受け入れられなくても。
あっけない無情な結末に
納得できなかったとしても。
「じぶんで人生を選んでいる」
なんて、はなはだ
おこがましいのかもしれない。
運命はもう決まっていて、
逆らうことができずに
「そのとき」を迎えるのを
待つしかないのか。
静かに微笑んで。
彼女たちの姿から感じたのは
悲しみを乗り越える
「たくましさ」なんかじゃない。
1日ずつ「そのとき」が
近づくにつれて
胸が締めつけられた。
それさえなければ、
彼女たちは、日々の暮らしを
静かに送っていたはずなのに。
描かれる日常が、平凡なものだからこそ
彼女が一瞬、見せた激情が
切なく、苦しかった。