#014 しゃべる練習【三日坊主とひとりごと】

「しゃべること」がとにかく、苦手だった。

できれば人のカゲに隠れていたくて
ばんばん前に出ていく人が、身近にいるとほっとした。

面接、プレゼン、人前の挨拶。
穴があったら常にもぐりこみたかった。

なにしろ、瞬発力がない。
気の利いた言葉が出てこない。

「書くこと」は、まあまあ得意だったけど、
それは一旦、持ちかえって、頭の中で整理して、
構成をああでもない、こうでもないと並べ替えて、
何度も推敲することができるからだ。

でも、あるとき何かの本に書いてあった言葉に
頭をガツン、と殴られたような気がした。

「苦手だというが、練習はしているのか?」

私は人前でうまくしゃべれないことを、
なぜか性格のせいにしていた。

素振りからはじめなければ、
野球の試合でホームランを打てないように。

何もしないで、できるようになるはずはない。

練習をするようになって、
少しだけ、しゃべることが苦ではなくなってきた。

まだまだ上手な人には及ばないけれど。