5歳くらいから、大学受験の手前まで
ピアノを習っていた。
幼いころから当たり前のように
通っていた習いごとだったから、
正直、「好きだ」という感覚は、
あまりなかった。
それにしてはよく続いたなと思うけど、
ほんとうにそうだった。
大学に入って実家を出て、
家にピアノがない生活がはじまると
「ああピアノ弾きたいな」と思って
自分でびっくりしたのを覚えている。
いくつかのサークルを回って、
出会ったのはJAZZ愛好会。
comicoで連載しているマンガに
『JAZZ男!』という作品があるのだけど
主人公の男の子が、
ジャムセッションをはじめて見て
衝撃を受けるシーンがある。
それを見ていた、お店のお姉さんが言うのだ。
「あなた、ジャズに恋したでしょ」
18歳だった私も、
一瞬で恋に落ちた。
今ではすっかり楽器に触れることも
なくなってしまったけど。
辞めてしまったつもりはないんです。
まだ、あのとき感じた高揚感が、心のどこかに残っているから。