#002 忙しくない。【三日坊主とひとりごと】

「忙しい」というのは、便利なことばだと思う。

「忙しいから、仕方ない」
あらゆる場面で、いいわけに使えてしまう。
とりわけ、自分自身に対して。

「今忙しいから、お受けできません」
(こんな直接的な言い方はしないけれど)
仕事でも、物理的なキャパシティはどうしてもある。

だから、決して相手には非がないということを、
言外にそっと、ひそませる。

「最近忙しそうですね?」
ここのところ、誰かに会うたびにそう言われる。

そのことばに、なんだか心がざわついてしまうことがある。

私はそんなに、疲れた顔をしていただろうか?
そんなに、余裕がないように見えたのだろうか?

わかっている。
それは、ただの“便利”な社交辞令でしかない。

しかし、たとえ「よっ、元気?」くらいの
ニュアンスしかなかったとしても、

その「忙しい」という魔の呪文の正体を、
自分のなかで、つい探したくなってしまう。

誰かが「心を亡くす」とかいうから、いけないんだよ。