#643 きらいな言葉【三日坊主とひとりごと】

ネットニュースを流し読みしていた。そのなかに、それはあった。とある著名人の方の訃報だった。享年70代前半。特に、驚きはしなかった。訃報があっても驚くような年齢ではない、というのが自分の感覚だったからだ。

でも、そのニュースのコメント欄はちがった。

「まだお若いのに」「平均寿命までまだあるのに」「働きすぎて寿命を縮めたのでは」「まだまだ活躍してほしかった」——。

この社会では、70代前半まで元気に生きて精力的に活躍してもなお、死ぬと「まだ若いのに」といわれるのか。そうなのか。

普段、めったにニュースのコメント欄なんて見ることはないのに、なぜわたしはそれをクリックしてしまったのか。ものすごく後悔した。

最近はどんなニュースを見ても、どんなに不穏な記事を目にしても、大概のことには感情を動かされなくなった。シャットアウト。無。

それが自分の心を守りながら平穏に生きるための、ひとつの術だと思うようになったから。

でも今回久しぶりに、けっこうなダメージをくらった。怒りでも、悲しみでも、絶望でもないのだけれど、なんともいえない感情がうずまいている。なんだか「どっと疲れた」というのが素直な感覚かもしれない。

「人生100年時代」というフレーズが、わたしはきらいだ。よくわからないけど、はじめて耳にしたときから大きらいだった。

なぜか、と聞かれてもよくわからない。なんだかわからない嫌悪感や違和感が、どうしても消えない。