「あなたにはあなたの地獄があり、わたしにはわたしの地獄がある」
アナウンサーの宇垣美里さんが語った言葉だそうだ。わたしはこのひとことが、人生の心理ど真ん中を突いていると思っている。
普段はほとんど芸能ニュースもワイドショーも見ないけれど、唯一、どきっとするのは、同世代でとてもがんばっていて、輝いているようにみえた人が突然亡くなった、と聞いたときだ。
そのひとには一体、どんな地獄があったのだろうか。それは絶対に本人にしかわからないし、この先、部外者であるわたしたちが知ることは永遠にない。
思わず久しぶりにTwitterを開いたけれど、相も変わらず故人を冒涜するような情報が飛び交っているのが目に飛び込んできてしまい、一瞬で後悔してすぐブラウザを閉じた。
この先、この世界はどうなってしまうんだろうと、まあまあ安穏と生きているわたしですら憂いたくなることがある。
一体、いま何のためにこんなにがんばって働いているのか、わからなくなる夜もある。日常の細かいあれこれを、すべて投げ出したくなる朝もある。
わたしがこのまま、健全な心を保って生きていける保証なんてどこにもない。その自覚だけは小さく抱えて、ほどよく距離をおきたいものからはそっと身を離し、やりきれない時間にはちょっとした楽しみを見つけながらなんとか乗り切っている。
「わたしたち、生きているだけでがんばってる」
そういった知人がいた。本当にその通りだ。