独身ひとり暮らし。仕事の特性上、ほとんど家から出なくてもすんでしまう。狭い賃貸アパートなのでペットは飼えないし飼う気もない。
だから日常的に愛でる対象となりうるのは、室内における観葉植物くらいである。
もともとサボテンすら育てられず、すぐ枯らしてしまうタイプだったのだが、東京でのひとり暮らしが長くなり、それなりに年齢を重ねたとき突然に、なにか生きているものを身近に置きたくなったのだった。
はじめはアイビーの小さな鉢植えからはじまって、何度か枯らしながらも、ポトス、ヒメモンステラ、ペペロミア、オリヅルラン、ソフォラ……と、だんだん種類が増えてきて、今では大小10種類くらいの鉢植えが部屋の中にある。
なんとなくにわか知識、ネットの情報でその場その場をしのいできたけれど、ついに先日、観葉植物の入門書を買って勉強まではじめている。
ようやく植え替えなど大掛かりな手入れができる季節になって、先週は葉が伸び放題になっていた鉢植えの切り戻しをした。
いままで知らなかったのだけど、「切り戻し」というのは、その株のすべての枝葉を一旦すべて落としてしまう手入れの手法らしい。
風通しをよくして、次の新しい茎や葉を伸ばすために必要なのだそうだ。
古くなり黄ばみはじめていたポトスの蔓を短く切りそろえながら、生きものはみな同じなんだな、とぼんやり考えた。
伸び切ってしまった蔓を、思い切って切ってみるのも選択肢の一つなのだ。