#602 青空の意味【三日坊主とひとりごと】

どのくらいぶりかすっかり忘れてしまったくらい久しぶりに、映画館に映画をみにいった。買い物ついでに、知人が絶賛していた映画タイトルを思い出したから。

2020年はそもそも舞台や映画をほとんどみにいかなかったし、その前となると、もう何を映画館でみたのかさっぱり思い出せない。

それに小説を身体が受けつけなくなったのと同じで、映画とかドラマとか、創作された作品にふれることも極端に少なくなっていて、そもそも自宅でも、ここ最近はほとんど映画をみていなかった。わずかな食指すら動かなかった。

でも「みてもいいかな」と思えたのは、なにか自分のなかで変わっていることがあるんだろうな、とぼんやり考えながら、土曜日の小田急線にゆられて新宿に向かった。降り立つのは、ほとんど1年ぶりくらいだ。

リハビリ的にみるには、相当ヘビーな作品だった。覚悟はしていたけれど、直視できない気分になったシーンがいくつかあった。(それほどに、役者さんの演技がすばらしかった)

ラストシーンで、一面の青空を背景に作品タイトルが投影されたとき、一瞬、なんだかすごく戸惑い、混乱をきたした自分がいた。

「すばらしき世界」とは。記憶より、まだずいぶん控えめな新宿の喧騒のなかを歩きながら、ぐるぐる考えてしまった。

何かを伝えようと描かれた(であろう)ものがたりを受け取るのには、けっこう体力がいる。まだちょっと早かったか。でも、たぶん今、みてよかったと思う。