「シェフを『つづける』ということ」という
ミシマ社から出ている本を、読んでいる。
著者である井川直子さんが
10年間という月日を経て
丁寧に、一つひとつのものがたりを
つむいできたことが、
心に直接伝わってくるような気がする。
今年の私のテーマも、「つづける」。
ここにある、15人のシェフのものがたりを
一篇ずつ、かみしめるように読んでいる。
10年前、
10年後の自分がどうなっているかなんて
微塵も考えたことがなかった。
ただ、目の前のことだけ。
そこから、10年。
今の私がこうなっている、ということを
10年前どころか、
5年前にも予想だにしていなかった。
思えば遠くへ、来たのだな。
10年という時間は、
誰にとっても平等である。物理的には。
でも、その10年
誰ひとりとして同じ経験を重ねた人はいない。
はい、当たり前のことを言ってます、今。
でも、私の知らない15人の「10年」を
たどるとき、
そんな当たり前のことが
心の奥にじんとしみわたる。