2008年8月、わたしははじめて会社員になった。2年アルバイトを経験してからの、第二新卒みたいなものだった。
2008年9月、リーマンショックが起きた。
ビジネスのことなんて当時は何もわかっていなかったけど、制作の仕事が減っていることはよくわかった。
4色だった印刷物はページ数が減り、いつの間にかモノクロに。コンペの見積もり競争は厳しくなり、「出精値引き」という言葉もその頃に覚えた。
広報ツールやデザインというものは、予算に余裕がないと作れない。真っ先にコストカットされる対象。それを目の当たりにした。
2018年7月、わたしは会社をつくった。ひとり合同会社なのだから、社員を大勢抱えている経営者の方に比べたら気楽なものではある。
でも協力してくれるパートナーさんが増えていくたびに、きちんと事業を継続していくための責任も感じるようになった。
そして2020年3月、いま世界が、新たな課題を突きつけられている。日本でもこれから、微塵も想像していなかった事態がドミノ倒しのように起きていくのだろう。
2008年、24歳だったわたしは、35歳のわたしが会社の代表になっている未来なんて、ちっとも想定していなかった。
10年、目の前のことをなんとかしようともがいてきたら、現在地にたどり着いた。ここから10年も、きっと同じ。いろいろもがいてみたら、どこかしらには流れ着く。だから今は、悪あがこう。できることをやろう。