#514 わたしの知らないラピュタ【三日坊主とひとりごと】

先日、『天空の城ラピュタ』をみた。

TVのロードショーではない。DVDでもない。

映画館で、あの大きなスクリーンで、生ラピュタを観ることができたのである。

わたしは、宮崎駿監督のファンというか、信者だ。

わたしが生まれたのは1983年。『風の谷のナウシカ』が封切られたのはその翌年。

ものごころついてからではあるけれど、初期作品はどれもVHSがすり切れるくらい、繰り返し何度も見てきた。

ストーリーはもちろん、映像も、台詞も、音楽も、だいたい頭に入っている。

それなのに。

もう、十分すぎるくらい、馴染みある作品のはずだったのに。

でも、ちがった。

はじめて映画館で観た『天空の城ラピュタ』は、わたしが知っていた作品ではなかった。

上映がはじまってからエンドロールが終わるまで、1秒たりとも、スクリーンから目が離せなかった。上映後、客席から自然と沸き起こった拍手で、我に返った。

124分のあいだに、何度も鳥肌がたった瞬間があった。

画面の奥に、どこまでも続いているかのような雲や空の描写。どこの国でもない、不思議な街の風景。

久石譲さんの音楽と、緊迫感が最高潮に達したときの静寂。象徴的に描かれた、ラピュタの美しさと残酷さ。

「映画は、映画館で観るために作られているんです」

上映前に行われた、支配人さんのあいさつ。そのひとことに、すべてが込められていたと思う。

30年前の作品を、いま、スクリーンで観られたことに心から感謝。