「そのことで、大島さんが得られるものは何ですか?」
——聞かれたことの意味がわからなくて、わたしは完全に答えに詰まった。
会社をつくってからというもの、なかなか自分が考えていること、モヤモヤした感情を思うようにかたちにできずに、じれったく思うことが増えた。
自分の性格を受け入れたうえで、どんな経営者になれそうか。どんなカタチのリーダーシップだったらムリなく続けられるか。そんなことも、改めて考えたいと思っていた。
その解決策のひとつとしてコーチングに興味をもち、先日、はじめてcotreeが提供している「アセスメントコーチング」を受けてみたのである。
その中で、ふと聞かれたのが冒頭の質問だ。
フリーランスをあえて辞め、わざわざ会社をつくった。それによって、あなたは何を得られると考えたのか、と。
わたしは、なぜかものすごくうろたえてしまった。ここ1年くらい、それなりにいろいろなことがあった日々の中でも、最高潮の動揺だった。
どうにかひねり出して、それらしいことをいくつか話したけれど、「わたしが得られることは何か」という問いは、その後もぐるぐると頭に残ってしまった。
「そのことを通して、自分自身が何を得られるのか」。
絶対、脳みその片隅では利害関係を冷静に分析して、この選択に至っているはず。ただ少なくとも質問を受けるまで、意識してそれを考えたことはなかった。
はじめてそれに気がついた。無意識を自覚した瞬間、だ。