「歴史、キライだったんですよねー。年号を覚えるの苦手で……」といわれて、呆然としたことがある。(何度も)
歴史=年号の暗記。そんなん、考えたこともなかった。
確かに受験勉強のときはテストに出るから仕方なく覚えたけれど、「歴史の勉強」を「暗記」と思ったことはない。
小学校の歴史の授業がはじまる前に、わたしはすっかり歴史が好きな子どもに育っていた。親戚の家からごっそり送られてきたお下がりの歴史漫画シリーズと、ポプラ社から出ている子ども向けの偉人伝(伝記)のおかげだ。
人物伝を軸にしたストーリーにふれ、過去にはさまざまな時代があって、そこに生きた人にもいろいろなドラマがあったことを知った。
そして最近、わたしはまた「歴史」を学びなおしている。
子どもの頃は“ものがたり”と捉えて純粋に楽しんでいただけだったけれど、曲がりなりにも経営者となったいま、過去の事象に、人間の真理が山ほど詰まっていることに今さら気づいたからだ。
歴史上、もっとも長く続いた国の政治のあり方。名君といわれた王は何をしていたのか。あの武将ひきいる軍勢はなぜ強かったのか。
カリスマがいなくなった後の国の末路。組織の繁栄とゆるやかな衰退。共同体が丸ごと暴走する恐ろしさ。独裁者が生まれてしまった社会的な背景。
もちろん、時代は進んでいる。新しいことも取り入れる必要がある。でも何千年ものむかしから、ちっとも変わっていないことがそこにはあるのだ。