#478 カイシャ、その不思議なる存在【三日坊主とひとりごと】

「会社にして、何か変わりました?」と、よく聞かれる。

わたしの答えは「ものすごく変わった。こんなに変わるなんて想像もしていなかった」だ。

正直、去年の夏に個人事業から法人化したのは勢いと成り行きだった。あったのは「このままじゃダメだなぁ」という漠然とした危機感だけ。

以来、仕事の内容は意識して変えてきたけれど、規模はまだほとんど「個人事業」の域から出ていない。雇用もしていなければ、オフィスもない。

でも、何かが確実に変わった。

フリーランスのときは、仕事の評価も収入も、すべてが「イコール自分」だった。

稼ぎが増えればふえるだけ生活の自由度は上がったし、仕事で得られる評価も、負わなければいけない責任も、全部、自分ひとりのもの。

法人化して銀行に法人口座を新しくつくり、その利益から自分の給料をもらうようになって、はっ!とした。

これまで「自分ひとり」を中心にまわっていた仕事と生活の中に、もうひとつの人格がぽん、と放り込まれた感じだ。

「法人は、人間以外に認められた唯一の人格なんですよ」

以前、とある経営者の方がおっしゃっていた言葉を思い出す。

生まれたばかりだから、一生懸命手をかけて面倒をみなければいけない。これからどんな子どもに育てたいか、考えなければいけない。

この未熟な“子育て”に、関わってくれる人たちへの目線も変わった。

悪くない。これは、長くひとりで仕事してきたわたしにとって、決して悪くない感覚だ。